自分に対するように、なんの遠慮もなく、怒ったり泣いたりしてしまう、ということだ。
でも、自分のことが本当に大きらいな人がいないように、かんしゃくを起こしたり騒いだりしても、 かぞくが大好きな人は、すぐに仲直りしてしまう。 だって、自分が好きなように、かぞくが大好きなんだから。
それはすごくふつうのことで、悪いことではないと、ぼくは思う。
では、かぞくにあたらないようになるためには、どうしたらいいんだろう。 それには、たくさん本を読んだり、学校の勉強をしたり、もちろん友だちと遊んだり家でかぞくと食事をしたりゲームをしたりして、うれしい気持ちや悲しい気持ちをできるだけたくさん味わうべきだと、ぼくは思う。そうすると人の気持ちに共感したり人がなにを考えているか少しずつわかってきたりするからだ。
人の気持ちを考える力を、想像力(そうぞうりょく)という。想像力を身につけると、かぞくにも優しくなれると、ぼくは思う。かぞくの気持ちを、自分の気持ちとはぜんぜん別のものとして考えることができるようになるからだ。かぞくは自分とはぜんぜん違う人間だと考えることがあたり前になる。
もしかしたら、ある日とつぜん、かぞくはいなくなってしまうかもしれない。自分は元気なのにかぞくが病気になったり、どこか遠くに行ってしまうかもしれない。もう二度と会えなくなるかもしれない。
そうしたらどんなに悲しいだろう。 想像力を身につけると、そんなことも考えられるようになる。
そうしたら、なにかいやなことがあったとしても、かぞくにあたってしまうことはなくなるかもしれない。ぼくはそう思う。
とくに、いい本を読むのは、たとえて言えば、自分のなかの「自分でない人」と対話(たいわ)することだと、ぼくは思っている。
だから、本を読み、勉強しよう。かぞくにも自分にもあたらないですむように、しっかり勉強しよう。
でも、ときどきケンカをするのは、とってもよいことだ。