Q&A

Q&A

Q

説明できないわからない気持ちがあるのはなんで?(5歳・男子)

こたえたおとなたち
  • 哲学研究者

    永井玲衣さん

  • 『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

    DJ・HAGGYさん

  • 環境活動家

    露木しいなさん

  • 解剖学者

    養老孟司さん

  • モデル・タレント

    滝沢カレンさん

  • 歌人

    俵万智さん

  • 写真家

    浅田政志さん

  • 漫画家

    柴門ふみさん

  • 作家、画家、音楽家、建築家

    坂口恭平さん

プロフィール

永井玲衣

哲学研究者

永井玲衣(ナガイレイ)さん

1991年東京都生まれ。学校、企業、寺社、美術館、自治体などで哲学対話を幅広く行なっている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。哲学とは、問うこと。あらゆる問いが、誰かがいることで練り上げられていく”哲学対話”の様子や、日常のささやかなエピソードが描かれた、“考える”ことの大切さと美しさを思い出させてくれる一冊。

A

相手と本当に話したいと思っている証拠

私も人になにかを伝えたいとき、たまに言葉が見つからなかったり、言葉が逃げていってしまうような感覚があって、だからこそ一生懸命に言葉を探しているときがあります。 みんなもあるんじゃないかな?
でも、それは相手と本当に話したいと思っている証拠だし、 そうすることでみんなでなにかを一緒にとり組めるようなところもあるから、私は”説明できないわからない気持ち”って好きなんです。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

永井玲衣

哲学研究者

永井玲衣(ナガイレイ)さん

1991年東京都生まれ。学校、企業、寺社、美術館、自治体などで哲学対話を幅広く行なっている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。哲学とは、問うこと。あらゆる問いが、誰かがいることで練り上げられていく”哲学対話”の様子や、日常のささやかなエピソードが描かれた、“考える”ことの大切さと美しさを思い出させてくれる一冊。

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

A

階段を一歩上がって成長する瞬間なんだと思う

それは当たり前なことだと思うよ。
階段を一歩上がって成長する瞬間なんだと思う。

 

「わからない」とか、「なんかモヤモヤする」みたいな気持ちがあることを知れたのは、実は幸せなこと。
それに、こういう質問をするということは、その気持ちの理由を知りたいと思っているわけだから、すごい!

 

そう思うことで、きっと自分で解決する力を得ていくから。
だから恥ずかしいことじゃないよ、自信を持ったほうがいいよ。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

プロフィール

露木しいな

環境活動家

露木しいな(ツユキシイナ)さん

2001年1月18日生まれ。神奈川県出身。高校時代はインドネシアのバリ島にあるグリーンスクールへ留学。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。 現在、気候変動の問題を子どもたちに伝えるため大学を休学し、環境活動家として活動中(全国の小中高大学約220校、3万人に講演)。また、日本初、国際基準コスモスオーガニック認証を取得したリップSHIINA organicをプロデュース。環境問題の解決策を紹介しているリールは小学生が見てもわかりやすいものばかり。Instagram:@shiina.co

A

世の中のすべてのことがわかったら、つまらないから

世の中のすべてのことがわかったら、つまらないからじゃないかな?

 

生まれた時にすべてのことを知っていたら、人に何かを聞く必要もないし、何かに興味を持つ必要もないじゃないですか。

 

だけど、わからないこと、見たことがないことがあると、「知りたい」「見てみたい」ってなる。それが人間らしさだと思うんです。

 

だから、“わからない気持ち”って素敵なものだと思う。それこそが「生きている」って感じなんじゃないかな。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

露木しいな

環境活動家

露木しいな(ツユキシイナ)さん

2001年1月18日生まれ。神奈川県出身。高校時代はインドネシアのバリ島にあるグリーンスクールへ留学。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。 現在、気候変動の問題を子どもたちに伝えるため大学を休学し、環境活動家として活動中(全国の小中高大学約220校、3万人に講演)。また、日本初、国際基準コスモスオーガニック認証を取得したリップSHIINA organicをプロデュース。環境問題の解決策を紹介しているリールは小学生が見てもわかりやすいものばかり。Instagram:@shiina.co

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

A

世の中にはわからないことがたくさんあります

なにごとも説明できると思ったら大間違いで、世の中にはわからないことがたくさんあります。

例えば、東京大学で解剖学を教えていた時、何人かの学生は人間の体のことをもう「わかったつもり」でいたんです。

 

でも、そもそも体のことってわからないことばかりでしょ?

昔の人はそのわからないことをわかっていたから、人体を「小宇宙」と言っていました。

 

「わかったつもり」になるのはとても良くないことです。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

プロフィール

滝沢カレン

モデル・タレント

滝沢カレン(タキザワ・カレン)さん

1992年5月13日生まれ。東京都出身。2008年モデルデビュー。雑誌『Oggi』の専属モデルとして活躍する一方、バラエティ番組への出演、女優活動、また映画『君たちはどう生きるか』や『窓ぎわのトットちゃん』で声優を務めるなど、幅広く活躍。著書に、自身のレシピをユーモアな語り口でまとめ20万部を突破した料理本『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)、名作のタイトルと少しのヒントを元にオリジナルの物語を綴った『馴染み知らずの物語』(ハヤカワ新書)。どちらも見たことのないような新しい言葉、表現に出会える、世界に対する視野が広がる一冊。

A

私はよく「どの言葉も似合わない気持ち」があるって思うんです

それが私たち人間のいちばん悲しいところでもあるし、いちばん楽しいところでもあると思います。

 

私はよく「どの言葉も似合わない気持ち」があるって思うんです。

「おいしい」という言葉が似合うごはん、似合わないごはんがあるように、もっちりでもない、パッキリでもない、ネッチョリでもない、私が今まで31年生きてきて出会った言葉では、どうにも表現しきれないことがある。

 

だから、この言葉でもない、あの言葉でもない、と探して、たとえば自分で「『にゃふにゃふ』した気持ちがこの感触に合います」、と言うとするじゃないですか。まわりからは「?」と思われるかもしれないけど、自分では、にゃふにゃふがしっくりくる。そんなことを毎日考えているんです。

 

この質問をしている5歳のあなたも、その説明できない気持ちを説明したい時、今ままでの5年の人生で積み重ねてきた言葉の積み木の中で、どれを取ろうかな、ってなると思うんです。その作業が、私は楽しいんです。

 

私の場合とくに、”自分が好きな踏み心地の言葉”があるんですよね。

自分の本のタイトル『馴染み知らずの物語』もそうで、言葉としてはちょっと変わっているけど、思いついた時は「どうしてもこれが言いたい!」ってなりました。

 

それにしてもこの質問、答えられる人がいるなら私も聞きたいくらい。

5歳のあなたには、出会う人全員にこの質問をしてみてほしいな。

そして答えられないでほしいです、誰にも。それが人間だし。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

滝沢カレン

モデル・タレント

滝沢カレン(タキザワ・カレン)さん

1992年5月13日生まれ。東京都出身。2008年モデルデビュー。雑誌『Oggi』の専属モデルとして活躍する一方、バラエティ番組への出演、女優活動、また映画『君たちはどう生きるか』や『窓ぎわのトットちゃん』で声優を務めるなど、幅広く活躍。著書に、自身のレシピをユーモアな語り口でまとめ20万部を突破した料理本『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)、名作のタイトルと少しのヒントを元にオリジナルの物語を綴った『馴染み知らずの物語』(ハヤカワ新書)。どちらも見たことのないような新しい言葉、表現に出会える、世界に対する視野が広がる一冊。

プロフィール

俵万智

歌人

俵万智(タワラマチ)さん

A

言葉は、世界のすべての物事、すべての気持ちに一対一で対応していない

まず言葉は、世界のすべての物事、すべての気持ちに一対一で対応していないことを知るのが大事です。

 

例えば、電話で「目の前に赤い花が咲いている」と言ったときに、聞いた人はまったく違う赤い花だったり、開きかけや満開など、状態が違うものを想像しているかもしれません。

 

そういう言葉のとらえ方のズレは、必ず生まれます。

 

つまり、言葉で目の前のことを100%説明することはできなくて、それでも人間は他の人とわかり合いたいから言葉を発明したんです。

 

でも、言葉で100%伝えられなくても、何も言わなかったら0だから、自分の気持ちを言葉で表現していくことはとても大切です。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

俵万智

歌人

俵万智(タワラマチ)さん

プロフィール

浅田政志

写真家

浅田政志(アサダマサシ)さん

1979年三重県生まれ。2009年、写真集「浅田家」(2008年赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010年には初の大型個展、『Tsu Family Land 浅田政志写真展』を三重県立美術館で開催。2020年に著書の『浅田家』、および『アルバムのチカラ』(2015年赤々舎刊)を原案として公開された映画『浅田家!』には、著書の写真からも滲み出ている本来当たり前に大切なこと(ちょっとしたユーモアだったり、誰かを思いやる気持ちだったり)が、家族という形の中で丁寧に描かれている。2020年には「浅田撮影局 まんねん」(青幻舎刊)と「浅田撮影局 せんねん」(赤々舎刊)を発表。新作個展「浅田撮影局」をPARCO MUSEUM TOKYOで開催した。

A

写真は言葉のまわりにある些細な記憶を残せる

「百聞は一見にしかず」ということわざがありますよね。

 

例えば、ある人のことを説明するときに、言葉で説明するより写真で見せたほうが伝わることってあるじゃないですか。つまり、「気持ち」も含めて、言葉では説明しきれないことってたくさんあると思うんです。

 

旅行に行って、どこかの夕日が最高に綺麗だったとか、そのときの気持ちを言葉で書くことはできますけど、写真は、その言葉にのらなかったこと、ふとした匂いだったりとか、雑踏の雰囲気だったりとか、そんな言葉のまわりにこぼれ落ちているような些細な記憶を残せるんです。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

浅田政志

写真家

浅田政志(アサダマサシ)さん

1979年三重県生まれ。2009年、写真集「浅田家」(2008年赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010年には初の大型個展、『Tsu Family Land 浅田政志写真展』を三重県立美術館で開催。2020年に著書の『浅田家』、および『アルバムのチカラ』(2015年赤々舎刊)を原案として公開された映画『浅田家!』には、著書の写真からも滲み出ている本来当たり前に大切なこと(ちょっとしたユーモアだったり、誰かを思いやる気持ちだったり)が、家族という形の中で丁寧に描かれている。2020年には「浅田撮影局 まんねん」(青幻舎刊)と「浅田撮影局 せんねん」(赤々舎刊)を発表。新作個展「浅田撮影局」をPARCO MUSEUM TOKYOで開催した。

プロフィール

柴門ふみ

漫画家

柴門ふみ(サイモンフミ)さん

1957年生まれ。1979年漫画家デビュー。『P.S. 元気です、俊平』で、『第7回講談社漫画賞』一般部門を受賞。『家族の食卓』『あすなろ白書』で、『第37回小学館漫画賞』青年一般部門を受賞。『東京ラブストーリー』『恋する母たち』などヒット作品多数。エッセイに『おとなのたしなみ』『老いては夫を従え』など。

A

言葉をたくさん知ることが必要

世の中には、言葉に置き換えられない、説明できないことのほうが多いんです。

だからこそ、それに近づくために言葉をたくさん知ることが必要です。

 

たどり着けないかもしれないけど、知っている言葉を増やせばきっと近づくことはできます。そのためには、本を読むといいです。いろいろな人の言葉を勉強できるから。

 

それから、漫画もおすすめです。
セリフで言葉がたくさん書いてあるし、目線とか、眉毛の上がり方ひとつで登場人物の気持ちが伝わってきます。

 

それこそ言葉に置き換えられない気持ちを読み取ったり、想像したりする力が高まると思います。

 

それと、漫画は物語に夢中になる時間を持たせてくれます。物語の世界にひたることができるのもひとつの能力だし、漫画を読むことはそれを磨く訓練にもなりますよ。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

柴門ふみ

漫画家

柴門ふみ(サイモンフミ)さん

1957年生まれ。1979年漫画家デビュー。『P.S. 元気です、俊平』で、『第7回講談社漫画賞』一般部門を受賞。『家族の食卓』『あすなろ白書』で、『第37回小学館漫画賞』青年一般部門を受賞。『東京ラブストーリー』『恋する母たち』などヒット作品多数。エッセイに『おとなのたしなみ』『老いては夫を従え』など。

プロフィール

坂口恭平

作家、画家、音楽家、建築家

坂口恭平(サカグチキョウヘイ)さん

1978年熊本県生まれ。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。著作に『独立国家のつくりかた』『苦しい時は電話して』『モバイルハウス 三万円で家をつくる』、『躁鬱大学』、『お金の学校』『土になる』や、小説『幻年時代』、『徘徊タクシー』、『けものになること』、ほか画集、料理書など多数。
躁鬱病であることを公言し、2012年から死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービス「いのっちの電話」を自身の携帯電話(090-8106-4666)で続けている。2023年2月に熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催。新著『生きのびるための事務』は、自分自身と向き合い、喜びだけでなく苦しい体験も含めて面白がり、新たな自分を発見していくことの喜びにあふれた一冊。

A

言葉にならないことと出会うと僕はワクワクします

説明できない気持ちのほうが本当は多いよね。

 

そもそも自分の言いたいことを誰かに全部伝えるのって難しいから、どうしてもどこかでウソをついてしまう。

 

だからって、「言葉にしなきゃ」と思いすぎてもつらいから、そこは焦らずいこう。

 

ただ、説明できない気持ちを言葉にしたいと思うのは素晴らしいこと。

 

例えば、僕は作家もやっていますが、いつも何を書きたいのか、何を伝えたいのかわからない状態で書いてます。

 

てゆうか、「書く」ということは、何を伝えたいのかを「考える」ことなんです。頭の中でそれを考えるとうまくいかないので、書きながら考えている、という感じです。

 

そんな中、言葉にならないことと出会うと僕はワクワクします。

僕にとってはそれが作家として仕事をしていく上でとても大切です。だって、それが次に書くことにつながるから。

 

だから、説明できない気持ちが気になるのはとてもいいことだし、自分の心が少しずつ見えている証拠です。

 

ここで君に伝えたいアドバイスとしては、ひとりで鉛筆を持って、なんでもいいから書き始めてみたらどうだろう。もしかしたら、のちに作家みたいな言葉を使う人になっていくかもしれない。

 

今は自分の持っている言葉が少ないから難しいかもしれないけど、大事なことは頭にあることをそのままにしておくのではなく、それを文字にすること。

 

少しずつ試してみたらどうかな。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

坂口恭平

作家、画家、音楽家、建築家

坂口恭平(サカグチキョウヘイ)さん

1978年熊本県生まれ。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。著作に『独立国家のつくりかた』『苦しい時は電話して』『モバイルハウス 三万円で家をつくる』、『躁鬱大学』、『お金の学校』『土になる』や、小説『幻年時代』、『徘徊タクシー』、『けものになること』、ほか画集、料理書など多数。
躁鬱病であることを公言し、2012年から死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービス「いのっちの電話」を自身の携帯電話(090-8106-4666)で続けている。2023年2月に熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催。新著『生きのびるための事務』は、自分自身と向き合い、喜びだけでなく苦しい体験も含めて面白がり、新たな自分を発見していくことの喜びにあふれた一冊。

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