Q&A

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Q

なんで悲しいときに涙が出るのか?(小3・男子)

こたえたおとなたち
  • 哲学研究者

    永井玲衣さん

  • 『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

    DJ・HAGGYさん

  • 歌人

    俵万智さん

  • 写真家

    浅田政志さん

プロフィール

永井玲衣

哲学研究者

永井玲衣(ナガイレイ)さん

1991年東京都生まれ。学校、企業、寺社、美術館、自治体などで哲学対話を幅広く行なっている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。哲学とは、問うこと。あらゆる問いが、誰かがいることで練り上げられていく”哲学対話”の様子や、日常のささやかなエピソードが描かれた、“考える”ことの大切さと美しさを思い出させてくれる一冊。

A

“世界と関係をむすびなおす”ことを、 日常の中で続けていってほしい

なんでこれが気になったんだろう?
私の場合、この問いがポロッと出ちゃったときは、涙が出るのがふしぎというより、人前で泣くのがはずかしかったから。
じゃあなんで人前で泣くとはずかしいんだろう?

 

私は全国のいろいろな学校に行って、“哲学対話”をしています。
以前、ある小学校の子どもたちと、この「なんで人前で泣くとはずかしいんだろう?」という問いについて話し合ったことがありました。
そして、生徒から出た答えのひとつは「”男は泣くな”と言われてきた」でした。
じゃあ、
「なんで泣いちゃいけないんだっけ?」
「スポーツ選手が流す涙にみんなが感動して、いい涙だったって言ったりするけど、涙にはいい涙、悪い涙とかあるのかな?
そういうことが、私はどんどん気になってきます。

 

こうやって参加している人と一緒に考えて、”対話”することが、哲学対話です。
ある問いに対して答えが出なくても、「もっと知りたい」と思っているときに時間切れで終わってしまっても、それでいいと思っています。
その考えた”道のり”すべてが、ある意味答えだから。
たとえば、この問いのように“涙”についてみんなで考えて話をすると、話をする前と後ではあきらかに世界が変わって、涙のことが深くわかるようになります。私はそれを「世界と関係をむすびなおす」と言っているんですが、「こういうことを日常の中で続けていってね」と、いつも伝えています。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

永井玲衣

哲学研究者

永井玲衣(ナガイレイ)さん

1991年東京都生まれ。学校、企業、寺社、美術館、自治体などで哲学対話を幅広く行なっている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。哲学とは、問うこと。あらゆる問いが、誰かがいることで練り上げられていく”哲学対話”の様子や、日常のささやかなエピソードが描かれた、“考える”ことの大切さと美しさを思い出させてくれる一冊。

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

A

それは、あなたの気持ちがやさしいから

それはあなたの気持ちが優しいからだよ。だから、素晴らしいことだと思う。
僕は小さい頃はずっとひとりで家の庭で遊んでいたから、幼稚園から帰ってきた子たちの声が外から聞こえてくると、「みんなこういう遊びをしているんだ、楽しそうだなあ」「もしもう一回生まれ変われるんだったら、一緒に遊びたいなあ」って思って、よく泣いていました。

でも、誰かを恨む、ということはなかったです。
幼稚園でやっていることをその子たちが教えてくれているわけだから、うれしい気持ちもありました。“魚釣りゲーム” とかね、幼稚園ってそういうことやってるんだなあって。知らない子たちだったけど、帰ってきた、というだけでうれしい。そんな気持ちだったかな。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

プロフィール

俵万智

歌人

俵万智(タワラマチ)さん

A

嫌な気持ちを涙が外に出そうとしている

例えば、暑いときに汗をかくのは体温を下げるためだったり、痛みを感じるのはケガをしたことに気がつくためだったり、人間の身体の反応にはなにかしらの意味があるみたいなんです。

 

だから、涙にもなにか意味があるんじゃないかと思います。

 

私の場合、泣いたらサッパリするときがあるので、もしかしたら泣きたくなるくらいの嫌な気持ちを、涙が外に出そうとしているのかもしれませんね。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

俵万智

歌人

俵万智(タワラマチ)さん

プロフィール

浅田政志

写真家

浅田政志(アサダマサシ)さん

1979年三重県生まれ。2009年、写真集「浅田家」(2008年赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010年には初の大型個展、『Tsu Family Land 浅田政志写真展』を三重県立美術館で開催。2020年に著書の『浅田家』、および『アルバムのチカラ』(2015年赤々舎刊)を原案として公開された映画『浅田家!』には、著書の写真からも滲み出ている本来当たり前に大切なこと(ちょっとしたユーモアだったり、誰かを思いやる気持ちだったり)が、家族という形の中で丁寧に描かれている。2020年には「浅田撮影局 まんねん」(青幻舎刊)と「浅田撮影局 せんねん」(赤々舎刊)を発表。新作個展「浅田撮影局」をPARCO MUSEUM TOKYOで開催した。

A

人間には言葉にできない感情がある

涙は出そうと思ってもなかなか出せないですよね。

 

本当に感情がたかぶったときに出るものだから。そもそも、人間には言葉にできない感情があるんだと思います。ふだん意識していないけど、僕たちは生きている限り一秒一秒死に向かっていて、嬉しいことがあるぶん、悲しいこともどうしてもついてきますよね。

 

僕は写真を撮ることが仕事ですが、写真って、そんな人生の断片だと思うんです。みんながなんで写真を撮るかというと、時間は止められないし、生きる時間も限られている中で、この瞬間を残したいなとか、今楽しいから撮りたいなとか、撮ったものをいつか見返したいと思って撮っているんだと思う。

 

10年後なのか20年後なのか30年後なのか、その定かではない未来に、自分の人生を振り返って、人知れず涙を流すような可能性があるのが、写真なんじゃないかと思います。

 

例えば、小学校のときの友達と写っているなにげない写真でも、もしかしたらその子とずっと親友でいて、人生をともにして、その人が先に亡くなってしまって、そうしてあらためて写真を見返すと涙を流すこともきっとあるはず。

 

人生のいろいろな記憶の中で感じた、言葉にできないさまざまな感情が折り重なって、どんな未来でどんなことを思いながら見るかというのは、無限大の可能性があります。

 

僕もたくさん家族写真を撮らせてもらっているので、その家族が、今ではなくいつかの未来に見返したとき、涙を流してもらえるぐらいの写真を撮りたいなと思っています。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

浅田政志

写真家

浅田政志(アサダマサシ)さん

1979年三重県生まれ。2009年、写真集「浅田家」(2008年赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010年には初の大型個展、『Tsu Family Land 浅田政志写真展』を三重県立美術館で開催。2020年に著書の『浅田家』、および『アルバムのチカラ』(2015年赤々舎刊)を原案として公開された映画『浅田家!』には、著書の写真からも滲み出ている本来当たり前に大切なこと(ちょっとしたユーモアだったり、誰かを思いやる気持ちだったり)が、家族という形の中で丁寧に描かれている。2020年には「浅田撮影局 まんねん」(青幻舎刊)と「浅田撮影局 せんねん」(赤々舎刊)を発表。新作個展「浅田撮影局」をPARCO MUSEUM TOKYOで開催した。

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