ちょっと嫌だなと思うことでも、やってみてください
私は、まず「自分の好きなことを見つけること」がとても大切だと思っています。
私が子どもの頃は、ちょうど戦争が終わって、世界がパッと開けて自由になった時代でした。
外国の文化がどんどん入ってきて、私は自然と「もっと外国のことを知りたい」と思うようになりました。
その流れで大学では英文学を学びました。そして、次第に「ブックデザインの仕事がしたい」と思うようになり、紀伊國屋書店に入社しました。
そこから縁があって、ブラジルに渡ることになり、2年間ほど現地で暮らしました。帰国後、私は作家の道を歩むことになります。
好きなことって、最初は“憧れ”として現れるんですよね。その憧れを大事にして、コツコツ書いたり、調べたりすること。
もしそれが“本当に好きなこと”なら、続いていくし、ちゃんと育てていかなければいけません。そうするとますます好きになって、憧れはやがて、あなたの魔法になるでしょう。
私自身、童話作家になろうなんて35歳まで考えたこともありませんでした。でも、そのときどきに抱いた小さな憧れは、未来の自分をそっと助けてくれるようになるんです。大事にしたいですね。
だから私は、「思い出」って過去にあるものじゃなくて、未来に先回りして待っていて、助けてくれるものだと思っています。
ただね、学生の頃、あまり好きになれなかった科学とか物理とか、自分が苦手だったことを少しでもいいから勉強しておけばよかったとこの頃思うようになりました。
そうすればもっと自分の世界が広がって、例えば物語の中で物理が好きな男の子を描くことができたかもしれないでしょ?
先日、とある新入社員の入社式の挨拶でも話したんです。
「私はこれまで、ずっと好きなことをやってきました。でも最近は、もう少し“嫌なこと”にも挑戦してみればよかったなと思います。だから、あなたたちも、ちょっと嫌だなと思うことでも、やってみてください」って。
少しだけ嫌なことでも、やってみてください。
案外それが面白くて、あなたの世界を広げてくれるかもしれませんよ。