Q&A

Q&A

Q

なんで感動するの?(6歳・男子)

こたえたおとなたち
  • 『奇跡のリンゴ』農家

    木村秋則さん

  • 登山家

    渡邊直子さん

  • 『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

    DJ・HAGGYさん

  • 宇宙飛行士

    山崎直子さん

  • サイエンス作家・YESインターナショナルスクール校長

    竹内薫さん

  • 解剖学者

    養老孟司さん

プロフィール

木村秋則

『奇跡のリンゴ』農家

木村秋則(キムラアキノリ)さん

1949年、青森県中津軽郡岩木町で農家の次男坊として生まれる。木村さんのリンゴの無農薬栽培への挑戦と成功を記録した本『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』が大ヒットし、以降世界中からたくさんの人々が木村さんの知恵を借りるため、木村さんの元を訪れる。今も変わらず自然の中で畑仕事に精を出す日々。

A

長い時間をかけてなにかを発見したとき

それはさ、私は絶対不可能と言われた、農薬を使わないリンゴ栽培をやっていますが、成功するまで10年かかりました。
そのあいだは、まったくリンゴもできず、収入もなかった。そうやって長い時間かけて新しいことができたり、発見したりすると、感動するのではないかな。

 

6歳くらいになると、たとえば時間をかけておもちゃをくみ立てられたり、パズルができあがったりしたとき、すごくうれしいでしょ。
すぐできたものと、長い時間かけてできたものとでは、その思いの大きさが違うと思うんですよ。その思いの大きさで、感動の大きさもまた、違うと私は思うな。

 

今も畑で虫たちを見ていると、虫同士がお互い食べたり食べられたりしてるわけですよ。例えば、害虫と言われるアブラムシいるでしょ。その近くに、ナメクジみたいな小さな虫がいて、調べたら、それはアブの幼虫だった。で、てんとう虫は、害虫をたくさん食べてくれる良い虫の代表、とみんなが思っているわけ。私はそのとき、一日中その虫たちを見ていたんです。そしたら、てんとう虫はアブラムシを5〜6匹しか食べないのに、アブの幼虫はそこにいたアブラムシを全部食べたの! もうびっくりした。
これを見たときにさ、自然界はなんてうまくできてるんだろうって、感動しました。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

木村秋則

『奇跡のリンゴ』農家

木村秋則(キムラアキノリ)さん

1949年、青森県中津軽郡岩木町で農家の次男坊として生まれる。木村さんのリンゴの無農薬栽培への挑戦と成功を記録した本『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』が大ヒットし、以降世界中からたくさんの人々が木村さんの知恵を借りるため、木村さんの元を訪れる。今も変わらず自然の中で畑仕事に精を出す日々。

プロフィール

渡邊直子

登山家

渡邊直子(ワタナベナオコ)さん

1981年福岡県大野城市生まれ。3歳から登山やサバイバルキャンプを始め、小学生になるとアジアの子どもたちといっしょに中国の無人島でキャンプしたり、4年生で雪山登山を経験し、12歳で4700mの山に登頂するなど、冒険に慣れ親しんだ幼少期を過ごす。現在は看護師として働きながら、ヒマラヤ(ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈)に14座ある標高8000m超の山々に挑む。現在13座に登頂すみで、あと1座(シシャパンマ)を登ると日本人女性初の全座制覇の偉業となるが、「それは通過点。子どもたちをヒマラヤに呼んで、冒険できる場を提供していきたい」と語る。

A

自分が知らないことを知ったとき

私の場合、自分が知らないことを知ったときに感動します。いつもびっくりしていたいんですね。
ヒマラヤの山登りでいうと、正直頂上ではあまり感動しないんです。頂上に着いたときは、さてどうやって降りるか、ということばかり考えちゃう。
でも、登っている途中の景色の美しさ、のぼってくる太陽と空の美しさにはよく感動するし、そんなときは不思議と疲れません。
私は基本的に自分に自信がないし、自分のことが好きじゃないと思うこともよくあるんですが、ヒマラヤの現地の人たちと話していて「直子といっしょにいたら楽しい」と言われたり、頼りにされたりすると、小さなことでも感動して泣きそうになることがあります。
それは看護師として働いているときも同じかもしれません。
患者の方に一言「ありがとう」と言われると嬉しいし、私は覚えていなかったのですが、「昔のことばかり考えるんじゃなくて、これからできる楽しいことを考えた方がいいですよ」と、私がある患者さんに言ったらしくて、そのことをとても感謝されて。
看護師をやっててよかったなあと思いました。
だから感動って、決して大きな達成感だけからくるものではなくて、毎日の中のふとした瞬間にもあるものだと思います。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

渡邊直子

登山家

渡邊直子(ワタナベナオコ)さん

1981年福岡県大野城市生まれ。3歳から登山やサバイバルキャンプを始め、小学生になるとアジアの子どもたちといっしょに中国の無人島でキャンプしたり、4年生で雪山登山を経験し、12歳で4700mの山に登頂するなど、冒険に慣れ親しんだ幼少期を過ごす。現在は看護師として働きながら、ヒマラヤ(ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈)に14座ある標高8000m超の山々に挑む。現在13座に登頂すみで、あと1座(シシャパンマ)を登ると日本人女性初の全座制覇の偉業となるが、「それは通過点。子どもたちをヒマラヤに呼んで、冒険できる場を提供していきたい」と語る。

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

A

自分が思ってもみなかったことが、目の前に現れたから

自分が知らないこと、わからないこと、思ってもみなかったことが目の前に現れたら、人は感動するんじゃないかな。
例えば、小学校5年生のとき、僕は叔父叔母に京都と奈良に初めて連れて行ってもらいました。
ずっとお腹が痛くて、病院に行くと「24時間以内に手術をしないと、命がないです」とお医者さんに言われて。でも、叔父叔母は買い物に行ってしまったので、ホテルでひとりで寝ていたんです。そうしたら、清掃係のおばさんが入ってきて、事情を説明したら「なんか欲しいものある?」と聞かれて、「ジュースが飲みたいです」、と言ったら、グレープジュースを持ってきてくれて。
僕は、おばさんの優しさに涙が止まらなくなって、持ってきてくれたジュースを飲みながら「このジュース、世界一おいしいです」と言いました。
「こんなやさしいおばさんがいるんだ」って、今でも忘れられないですね。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

DJ・HAGGY

『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』著者

DJ・HAGGY(ディージェイ・ハギー)さん

DJ・HAGGY(本名:萩原浩一/はぎわらひろかず) ラジオDJ・教師
湘南出身・在住。物心ついた頃から親と離れて暮らす。小学校5年生の頃、京都で入院した病院でラジオの魅力に目覚め、ラジオDJになる夢を抱く。高校卒業後、厚生事務官として厚生省精神科神経科療養所や国立小児病院で働きながら、大学にも通う。卒業後はご縁あって教師(公立中学校、私立中学校高等学校、学習塾&予備校勤務)の道へ。平成8年4月28日、レディオ湘南にてDJ・HAGGYとしてスタートした朝の番組は、24年間、6000回以上の放送回数を重ね、土日以外は朝3時起きの生活を続ける。現在もお世話になった地元への恩返しの気持ちを込めて、数多くの親善大使やアンバサダーを務めている。また、多摩大学湘南キャンパス・グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科と、目白大学新宿キャンパス・メディア学部メディア学科の非常勤講師も務める。著書に『1歳で両親に捨てられた僕が湘南でラジオDJになった話』(文芸社)。HP:https://www.djhaggy.com

プロフィール

山崎直子

宇宙飛行士

山崎直子(ヤマザキナオコ)さん

1970年千葉県松戸市生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。1996年、同大学航空宇宙工学専攻修士課程修了。1999年、宇宙飛行士候補者に選抜され、2001年、宇宙飛行士となる。2010年、スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)の組立・補給ミッションに参加し、15日間宇宙に滞在。物資移送作業全体の取りまとめや、ISSのロボットアームの操作などを担当。現在は一般社団法人Space Port Japan代表理事や公益財団法人 日本宇宙少年団の理事長として、宇宙の魅力を伝え続ける。著書に『宇宙飛行士は見た 宇宙に行ったらこうだった!』(リピックブック)『夢をつなぐ』(角川文庫)など。

A

人間が心を持っているからだと思います

感動する=心が動くということなので、人間が心を持っているからだと思います。
何に感動するかは人それぞれだけど、いろいろなことに感動できる心って、
素敵ですよね。
心が動くことで何かに対してもっとがんばろうと思えたり、もっと知りたいと思えたりする。
だから人間は、感動することによって好奇心が高まっていろいろなことを理解して、そうやって今まで文明を発展させてきたんじゃないかと思うんです。

私も子どもの頃、「星にもいろいろな個性があって、同時に寿命がある」ことを知ったときは、感動しました。
星は年月を重ねていくと温度が下がって赤っぽくなったり、爆発してブラックホールになったり、そのまま小さくなったり、爆発してかけらをまわりに散らかしてそこからまた新たに生まれ変わったりします。
星にもそうした一生があるというのが素敵だなあと思ったのを、よく覚えています。

もちろん宇宙にはじめて行ったときも、びっくりしたと同時に感動しました。
無重力状態になって体がフワっと浮いたとき、「懐かしい」と思ったんです。
母の胎内にいた頃の記憶を、思い出したのかもしれません。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

山崎直子

宇宙飛行士

山崎直子(ヤマザキナオコ)さん

1970年千葉県松戸市生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。1996年、同大学航空宇宙工学専攻修士課程修了。1999年、宇宙飛行士候補者に選抜され、2001年、宇宙飛行士となる。2010年、スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)の組立・補給ミッションに参加し、15日間宇宙に滞在。物資移送作業全体の取りまとめや、ISSのロボットアームの操作などを担当。現在は一般社団法人Space Port Japan代表理事や公益財団法人 日本宇宙少年団の理事長として、宇宙の魅力を伝え続ける。著書に『宇宙飛行士は見た 宇宙に行ったらこうだった!』(リピックブック)『夢をつなぐ』(角川文庫)など。

プロフィール

竹内薫

サイエンス作家・YESインターナショナルスクール校長

竹内薫(タケウチカオル)さん

サイエンス作家、YESインターナショナルスクール校長。東京大学教養学部、同理学部を卒業。 カナダ・マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻)。2014年8月にYESインターナショナルスクールを開校。著書に『(伝記絵本)カタリン•カリコの物語』(西村書店)、『誰かに教えたくなる宇宙のひみつ』(徳間書店)『僕たちはいつ宇宙に行けるのか』(山崎直子共著、青春出版社)など多数。 X:@7takeuchi7

A

人間は心を持っているんです

例えばAI(人工知能)は、将棋の名人に勝てるかもしれないし、自動運転もできるかもしれないけど、感動はできないですよね。

 

どうしてかというと、心を持っていないから。

 

人間は心を持っているんです。「心がある」ということは、自分に気づいているということです。「自意識」とも言いますよね。

 

自分に気がついている、つまり心があるから、感動できるんです。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

竹内薫

サイエンス作家・YESインターナショナルスクール校長

竹内薫(タケウチカオル)さん

サイエンス作家、YESインターナショナルスクール校長。東京大学教養学部、同理学部を卒業。 カナダ・マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻)。2014年8月にYESインターナショナルスクールを開校。著書に『(伝記絵本)カタリン•カリコの物語』(西村書店)、『誰かに教えたくなる宇宙のひみつ』(徳間書店)『僕たちはいつ宇宙に行けるのか』(山崎直子共著、青春出版社)など多数。 X:@7takeuchi7

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

A

感動することよりも気分を良くすること

感動というのは、短い時間に強く出る「気分」の一部です。

 

気分と言うとなんだか軽く聞こえるけど、でも結構大事ですよ。「なんか気分が悪いなあ」と言っていると、「生きていておもしろくない」という感じにもつながるので。

 

だから、感動することよりも気分を良くすることが、日常では大切なんだと思います。

取材・文/Questionary編集部

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

なんで骨は見えないの? 記事一覧 どうしてお母さんとハグすると安心する?