INTERVIEW

INTERVIEW

When I was your age

「わたしが君の年だったころ」

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

「明日はどうなるかわからない」を心に叩きこまれた

僕が子どもの頃によく言われたのは、「そんなに嫌ならお前やってみな」。

生意気だったんですよ。ああだこうだ理屈ばかり言う子でしたね。

 

当時は本当に物がなかった。本もなくて、新しくもらうのは教科書くらいでした。
その教科書は閉じられていないから、自分で折って閉じていました。

 

読むものがないから、教科書をもらったらすぐ読む癖がついてましたね。
そうすると1年分読み終わってしまって、授業中はもう寝てるしかない。

 

戦争が終わった時、その教科書に「墨を塗れ」と言われたんだから、何も当てにならないし、明日はどう変わるかわかったもんじゃないということを子ども心に叩き込まれました。

 

君たち子どもの将来について親がいろいろ言ってくるだろうけど、預言者じゃあるまいし、誰も未来のことなんてわかるわけがありません。

 

でも今は、世の中全体が「ああすればこうなる」という、まるで自分の人生がシュミレーションできると思っている節があります。いい加減、その考え方はやめたほうがいいね。

 

明日何が起こるかわからない。そんな時代を生きていることを意識してください。

 

そして、子どものうちは外に行って遊んでください。


「人間はどうして勉強しなきゃいけないの?」の質問にも答えたけれど、自然に触れて、自分で体を動かして、感じて考えること。遊ぶこと、好きなことをすることが、結果的に勉強になるんだから。

 

このあいだ子どもたちと一緒の時に僕が何かを質問をしたら、「インターネットで調べればいい」と返事した女の子がいました。なんでもインターネットに書いてあると思っているんですね。

 

国民の休日として、インターネットが一日使えない日を作るというのも、いいと思うんですけどね。

 

まずは、自分の頭で考えること。


地球上に70億人いて、70億個の脳があるのに、なんでわざわざ人工知能なんて作るのでしょう。

 

今ある脳を、もっと使いなさい。

取材・文/Questionary編集部

INTERVIEW / 2024.02.24

  • わたしが君の年だったころ

プロフィール

養老孟司

解剖学者

養老孟司(ヨウロウ・タケシ)さん

1937年11月11日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。日本の医学者、解剖学者。東京大学名誉教授。医学博士。2003年に出版された『バカの壁』は450万部を突破。著書『ものをわかるということ』(祥伝社)は、体がおざなりにされた昨今の勉強における「身につける」という言葉の真意や、子どもたちがぶつかるであろうさまざまな壁との向き合い方が綴られた、これからの予測不可能な時代をサバイヴするために必携の一冊。

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