Q&A

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Q

木はお話するの?(6歳・男子)

こたえたおとなたち
  • 『奇跡のリンゴ』農家

    木村秋則さん

  • マサイ族・運転手

    マイケル・エドワード・モレルさん

  • 環境活動家

    露木しいなさん

  • モデル・タレント

    滝沢カレンさん

  • 猟師

    黒田未来雄さん

プロフィール

木村秋則

『奇跡のリンゴ』農家

木村秋則(キムラアキノリ)さん

1949年、青森県中津軽郡岩木町で農家の次男坊として生まれる。木村さんのリンゴの無農薬栽培への挑戦と成功を記録した本『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』が大ヒットし、以降世界中からたくさんの人々が木村さんの知恵を借りるため、木村さんの元を訪れる。今も変わらず自然の中で畑仕事に精を出す日々。

A

植物たちは、人間の話を聞いていると思う

今もリンゴの木には「がんばれよ」と毎日話しかけています。
木ばかりではなくて、花や草も、みんな会話してるんではないかなと。
たとえばさ、よく耳にすると思うんだけれども、花にやさしい言葉をかけていると、キレイに長持ちして、きたない言葉をかけた花は早くに枯れてしまうと言われてます。きっと植物たちは、人間の話を聞いていると思うんです。でも、人間は植物がなにを話しているかわからない。翻訳してくれる道具があればいいんですけれども。だから、もしも私が木だったら、もしも私がだいこんだったら、と、木やだいこんの気持ちになって「こんなことをされたら嫌だろうなあ」と思ったことをやらないようにしています。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

木村秋則

『奇跡のリンゴ』農家

木村秋則(キムラアキノリ)さん

1949年、青森県中津軽郡岩木町で農家の次男坊として生まれる。木村さんのリンゴの無農薬栽培への挑戦と成功を記録した本『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』が大ヒットし、以降世界中からたくさんの人々が木村さんの知恵を借りるため、木村さんの元を訪れる。今も変わらず自然の中で畑仕事に精を出す日々。

プロフィール

マイケル・エドワード・モレル

マサイ族・運転手

マイケル・エドワード・モレルさん

マサイ族、1982年タンザニアのアル―シャ生まれ。マサイ族とは、120あるタンザニアの民族のうちのひとつ。垂直に高く飛ぶ「マサイジャンプ」やライオンを狩ることで有名。色鮮やかな「シュカ」という赤い布を身に纏う。以前は遊牧民だったが、現在は観光ガイドをしたり、近隣の国に出稼ぎをしたり、遊牧民のライフスタイルは失われつつある。
マイケルは、4歳と12歳の子供2人と妻の4人でダルエスサラームに住む。出稼ぎのために12年前にマサイの村から都市に移住した。主に外国人たちの運転手の仕事をしながら、定期的に故郷の村に帰省している。本人は12人兄妹のひとり。過去には、サファリのガイドやキリマンジャロ登山のガイドの仕事もしてきた。十分な資金がたまったら村に帰り、大きな家を建てることが目下のゴール。

A

木は、マサイにとって、人間にとって、とても大切な友達だよ

木はもちろん話しをするよ。木の声は聞こえないかもしれないけれど、木は人間に話しかけているよ。

例えばマサイは木と話をすることで、自然を予測できるんだ。

木を見て木のおはなしを聞くと、葉っぱの色の変化や木の状態がわかるんだ。そうするといつ干ばつが来るのか、大雨が続くのかなど、将来の天気や将来の自然の動きもわかる。これは自然と共に生活しているマサイが生きていくためにはとっても大切で、生きるためのヒントを木からもらっているよ。

マサイはお薬も木にもらっているよ。病気になったら、マサイは病院に行かずに木から薬を作って、それを飲んで元気になるんだ。

木は、マサイにとって、人間にとって、とても大切な友達だよ。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

マイケル・エドワード・モレル

マサイ族・運転手

マイケル・エドワード・モレルさん

マサイ族、1982年タンザニアのアル―シャ生まれ。マサイ族とは、120あるタンザニアの民族のうちのひとつ。垂直に高く飛ぶ「マサイジャンプ」やライオンを狩ることで有名。色鮮やかな「シュカ」という赤い布を身に纏う。以前は遊牧民だったが、現在は観光ガイドをしたり、近隣の国に出稼ぎをしたり、遊牧民のライフスタイルは失われつつある。
マイケルは、4歳と12歳の子供2人と妻の4人でダルエスサラームに住む。出稼ぎのために12年前にマサイの村から都市に移住した。主に外国人たちの運転手の仕事をしながら、定期的に故郷の村に帰省している。本人は12人兄妹のひとり。過去には、サファリのガイドやキリマンジャロ登山のガイドの仕事もしてきた。十分な資金がたまったら村に帰り、大きな家を建てることが目下のゴール。

プロフィール

露木しいな

環境活動家

露木しいな(ツユキシイナ)さん

2001年1月18日生まれ。神奈川県出身。高校時代はインドネシアのバリ島にあるグリーンスクールへ留学。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。 現在、気候変動の問題を子どもたちに伝えるため大学を休学し、環境活動家として活動中(全国の小中高大学約220校、3万人に講演)。また、日本初、国際基準コスモスオーガニック認証を取得したリップSHIINA organicをプロデュース。環境問題の解決策を紹介しているリールは小学生が見てもわかりやすいものばかり。Instagram:@shiina.co

A

聴診器を木にあててよく聞くと、中から音が聞こえる

私は話すと思います。

 

聴診器を木にあててよく聞いてみると、中から音が聞こえるんです。

 

木によって違うんだけど、人間の心臓みたいに「ドクドク」とかではなくて、かすかに根っこから水がのぼっていくような音が聞こえます。人間と同じ“生き物”なんです。

 

人間もいろいろなタイプがいて、例えば私が環境問題に興味があるように、木もいろいろな種類があって、それぞれに個性や意思があるんだと思います。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

露木しいな

環境活動家

露木しいな(ツユキシイナ)さん

2001年1月18日生まれ。神奈川県出身。高校時代はインドネシアのバリ島にあるグリーンスクールへ留学。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。 現在、気候変動の問題を子どもたちに伝えるため大学を休学し、環境活動家として活動中(全国の小中高大学約220校、3万人に講演)。また、日本初、国際基準コスモスオーガニック認証を取得したリップSHIINA organicをプロデュース。環境問題の解決策を紹介しているリールは小学生が見てもわかりやすいものばかり。Instagram:@shiina.co

プロフィール

滝沢カレン

モデル・タレント

滝沢カレン(タキザワ・カレン)さん

1992年5月13日生まれ。東京都出身。2008年モデルデビュー。雑誌『Oggi』の専属モデルとして活躍する一方、バラエティ番組への出演、女優活動、また映画『君たちはどう生きるか』や『窓ぎわのトットちゃん』で声優を務めるなど、幅広く活躍。著書に、自身のレシピをユーモアな語り口でまとめ20万部を突破した料理本『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)、名作のタイトルと少しのヒントを元にオリジナルの物語を綴った『馴染み知らずの物語』(ハヤカワ新書)。どちらも見たことのないような新しい言葉、表現に出会える、世界に対する視野が広がる一冊。

A

私は3、4歳の頃から、実際に木と話していた時代がありました

すごくワクワクする質問ですし、まだこんなことを聞いてくれる方が地球にいた、というだけでうれしい!

 

木はお話しすると思います。
私は3、4歳の頃から、実際に木と話していた時代があったんですね。

ただ、会話をしていたというよりは、耳を木に押しつけて、木の中で何が起こっているのか知ろうとしたり、自分から一方的に心の中で、もしくは実際に語りかけたりしていました。

 

ひとりっ子で、いつも大人たちに囲まれた子ども時代だったので、大人は大人で難しい話をしているし、私の話を聞いてくれないこともよくあって。

 

でも、木は絶対に私が話すのを邪魔しなかったし、いつだって飲みこんでくれたし、大きな心で支えてくれたんです。

 

それに、人間からすると木に一方的にしゃべっているように思えるけど、木は木で、人間がとなりにいてくれると、「僕の話を一方的に聞いてくれてなんていい子なんだ」って、思ってくれてるんじゃないかな。

 

私は、たとえばペットボトルに入っているお茶も、命があってほしいと思うんです。口にしたときにこれほどの新鮮さを保っているということは、お茶も生きているって思っていて、自分の心の中でお茶が話しかけてきたら、それはもう会話ですよね。

 

だから、木だけではなくて、花や植物や虫、土のひとかけらだって、感情はあると思うし、そういう公園にあったものたちに話しかけて、子ども時代は助けられていました。

 

こんなふうに、しゃべらないから自分からしゃべりかけてみる、ということをよくしていたから、小学校に入ってからのお友達作りもうまくいった気がします。

 

でも今はもう、木には話しかけません。なぜなら、木同士が話しているほうが楽しそうだから。「お前は葉っぱがあってあったかそうだなあ」と別の木に話しかけている木がいたとして、そこに私の言葉はいらないし、今日も楽しそうにしゃべっているな、くらいに想像するのが好きです。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

滝沢カレン

モデル・タレント

滝沢カレン(タキザワ・カレン)さん

1992年5月13日生まれ。東京都出身。2008年モデルデビュー。雑誌『Oggi』の専属モデルとして活躍する一方、バラエティ番組への出演、女優活動、また映画『君たちはどう生きるか』や『窓ぎわのトットちゃん』で声優を務めるなど、幅広く活躍。著書に、自身のレシピをユーモアな語り口でまとめ20万部を突破した料理本『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)、名作のタイトルと少しのヒントを元にオリジナルの物語を綴った『馴染み知らずの物語』(ハヤカワ新書)。どちらも見たことのないような新しい言葉、表現に出会える、世界に対する視野が広がる一冊。

プロフィール

黒田未来雄

猟師

黒田未来雄(クロダミキオ)さん

1972年、東京生まれ。東京外国語大学卒。1994年、三菱商事に入社。国産自動車のアフリカ諸国への輸出を担当。1999年、NHKに転職。ディレクターとして「ダーウィンが来た!」などの自然番組を制作。北米先住民の世界観に魅了され、現地に通う中で狩猟体験を重ねる。2016年、北海道への転勤をきっかけに自らも狩猟を始める。2023年に早期退職。狩猟体験、講演会や授業、執筆などを通じ、狩猟採集生活の魅力を伝えている。

A

「未来雄、しっかりやってるか」と言われているような気持ちになります。

人間みたいな言葉は使わないけど、間違いなくお話ししています。

 

例えば、木は花を咲かせることによって虫を呼ぶし、どんぐりの木なんかは実をつけることで、リスに「おいで」と言っているわけです。

 

僕が子どもの頃は、お友達の木とか、お気に入りの花とか、登下校の時にいつも「おはよう」と声をかけるような木がありました。

 

大人になってみると、とくに大きな木が語りかけてくるように感じます。僕が勝手に思っているだけかもしれないですけど。

 

植物って、動物みたいには動けないじゃないですか。

 

鹿だったら、僕が撃とうとしたら逃げられるけど、植物は逃げられない。

 

どこに種が落ちるかというのも偶然のなりゆきで、自分でコントロールできません。

 

置かれた場所で芽を出し、何百年もかけて大木に育ち、やがてたくさんの実をつける。

 

その実を食べに動物がやって来たり、鳥たちが巣をつくったり。

 

そんな姿を目にすると、自分の運命から逃げずに、そこに根を張って生き抜くという“圧倒的な強さ”を感じるんです。

 

そして「未来雄、しっかりやってるか」と言われているような気持ちになります。

 

ちなみに、以前カナダの先住民は、木のことを“ツリーピープル”と言っていました。
人間と植物の境がないんですね。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2023.10.17

プロフィール

黒田未来雄

猟師

黒田未来雄(クロダミキオ)さん

1972年、東京生まれ。東京外国語大学卒。1994年、三菱商事に入社。国産自動車のアフリカ諸国への輸出を担当。1999年、NHKに転職。ディレクターとして「ダーウィンが来た!」などの自然番組を制作。北米先住民の世界観に魅了され、現地に通う中で狩猟体験を重ねる。2016年、北海道への転勤をきっかけに自らも狩猟を始める。2023年に早期退職。狩猟体験、講演会や授業、執筆などを通じ、狩猟採集生活の魅力を伝えている。

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