Q&A

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なんで夜は怖くなるんだろう(5歳・男子)

こたえたおとなたち
  • 作家

    町田康さん

  • 特定非営利活動法人NGO日本アフリカ国際開発(JANIDA)代表理事

    Bukenya Abubakarさん

  • 猟師

    黒田未来雄さん

プロフィール

町田康

作家

町田康(マチダコウ)さん

1962年大阪府生まれ。『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、『きれぎれ』で芥川賞、『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、『権現の踊り子』で川端康成文学賞、『告白』で谷崎潤一郎賞、『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。また『ギケイキ』シリーズ、『男の愛』、『口訳 古事記』、『宇治拾遺物語』など、翻訳と創作の間を行き来する古典の現代語訳は、今も昔も変わらない人間の愛すべき馬鹿馬鹿しさ、どうしようもない人間らしさが詰まった、それぞれに心の底から笑えて、そしてときに喜怒哀楽を超越した感動を味わえる。

A

暗いから。

暗いから。

 

子どものときって、とくにおばあちゃんの家とかに行ったときは、
夜トイレに行くのも怖いですよね。

 

でも、そういう気持ちは子どもの時にしか感じらへんから、
大事にしといた方がいいよ。

 

「怖い」と思う気持ちって、動物として生きのびる知恵だから。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2024.05.22

プロフィール

町田康

作家

町田康(マチダコウ)さん

1962年大阪府生まれ。『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、『きれぎれ』で芥川賞、『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、『権現の踊り子』で川端康成文学賞、『告白』で谷崎潤一郎賞、『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。また『ギケイキ』シリーズ、『男の愛』、『口訳 古事記』、『宇治拾遺物語』など、翻訳と創作の間を行き来する古典の現代語訳は、今も昔も変わらない人間の愛すべき馬鹿馬鹿しさ、どうしようもない人間らしさが詰まった、それぞれに心の底から笑えて、そしてときに喜怒哀楽を超越した感動を味わえる。

プロフィール

Bukenya Abubakar

特定非営利活動法人NGO日本アフリカ国際開発(JANIDA)代表理事

Bukenya Abubakar(ブケニャ アブバカール)さん

特定非営利活動法人NGO日本アフリカ国際開発(略称JANIDA)代表理事。日本人有志と協力をしてアフリカの地域社会に影響を及ぼしている気候変動、自然災害、飢餓、貧困などの解決に取り組んでいる。現在、日本に来て6年。

A

人間は「知らない」ものに怖さを感じる

君だけじゃなくて、大人も子どもも、世界中の人が悪夢を見るよ。

 

今考えていること、昨日遊んだことや見たもの、それらが混ざって、たまに悪夢になる。

 

よくわからない怖い生き物が夢の中に出てきたら、動物園に行ってみるといいよ。

 

そこで、お父さんやお母さんに、それぞれの動物について説明してもらえば、

 

きっと怖さは吹き飛ぶはず。なぜなら、人間は「知らない」ものに怖さを感じるから。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2024.05.22

プロフィール

Bukenya Abubakar

特定非営利活動法人NGO日本アフリカ国際開発(JANIDA)代表理事

Bukenya Abubakar(ブケニャ アブバカール)さん

特定非営利活動法人NGO日本アフリカ国際開発(略称JANIDA)代表理事。日本人有志と協力をしてアフリカの地域社会に影響を及ぼしている気候変動、自然災害、飢餓、貧困などの解決に取り組んでいる。現在、日本に来て6年。

プロフィール

黒田未来雄

猟師

黒田未来雄(クロダミキオ)さん

1972年、東京生まれ。東京外国語大学卒。1994年、三菱商事に入社。国産自動車のアフリカ諸国への輸出を担当。1999年、NHKに転職。ディレクターとして「ダーウィンが来た!」などの自然番組を制作。北米先住民の世界観に魅了され、現地に通う中で狩猟体験を重ねる。2016年、北海道への転勤をきっかけに自らも狩猟を始める。2023年に早期退職。狩猟体験、講演会や授業、執筆などを通じ、狩猟採集生活の魅力を伝えている。

A

夜が怖いと思えるのは、とてもすごいこと

僕は、恐怖こそが自然からの一番のギフトだと思っています。

 

 

人間は夜を怖いと思うけれども、反対に夜が大好きな動物もたくさんいますよね。

 

 

人間は暗闇の中だとまわりがよく見えないけど、夜行性の動物たちはちゃんと見えている。

 

 

つまり、恐怖というのは「見えているか見えてないか」の差なんだろうと思います。

 

 

そして、実はその恐怖は人間に「あなたは弱いんですよ」って教えてくれている気がします。

 

 

「決してこの自然世界を統治するような存在ではなくて、ただ単に夜になっただけで怯えてしまう、ちっぽけな存在なんですよ」って。

 

 

僕の場合でいうと、それは猟師として熊を狙っているときに似ています。

 

 

鹿の場合、もし撃った弾が致命傷にならなかったとしても、怒ってこちらに突進してくるようなことはまずありません。

 

でも、熊は違います。心臓を狙ったつもりでも、弾がわずかにそれて肩に入ったりすると、猛烈に怒って全力で向かってくる。

 

 

そして数秒後には、僕の頭を跳ね飛ばしているかもしれない。それくらいの可能性が常にあるんです。

 

 

だからこそ、熊は素晴らしい存在だと思っています。

 

 

僕がどれだけ弱いか、無力かを、嫌というほど教えてくれる。

 

人間って、ふだん「食べる側」の生き物だという意識が強いと思うんです。

 

でも熊は、自分もまた「食べられる側」になりうるということを、初めて気づかせてくれました。

 

 

僕にとっては、偉大な存在なんです。

 

 

あともうひとつ伝えたいのは、夜を怖いと思えること自体、とてもすごいことだということです。

 

 

なぜなら、その暗闇の中に何かを見たり感じたりしているということだから。

 

 

それは、想像力があるからなんです。

 

 

だから、僕は君に「想像力が豊かで素晴らしいね!」と言いたいです。

取材・文/Questionary編集部

Q&A / 2024.05.22

プロフィール

黒田未来雄

猟師

黒田未来雄(クロダミキオ)さん

1972年、東京生まれ。東京外国語大学卒。1994年、三菱商事に入社。国産自動車のアフリカ諸国への輸出を担当。1999年、NHKに転職。ディレクターとして「ダーウィンが来た!」などの自然番組を制作。北米先住民の世界観に魅了され、現地に通う中で狩猟体験を重ねる。2016年、北海道への転勤をきっかけに自らも狩猟を始める。2023年に早期退職。狩猟体験、講演会や授業、執筆などを通じ、狩猟採集生活の魅力を伝えている。

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