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「娘を行かせたいと思う学校がなかったから作った」学校とは?

 

ひと昔前は、学びの場は学校しかなかった。今は、学校“も”あるーー。

子どもたちの多様性に合わせてさまざまな学びの選択肢が増えてきた今、

それらを紹介していくシリーズ“シン・学校”。

第2回目は、国語、英語、プログラミング言語の『トライリンガル教育』に力を入れるフリースクール「YESインターナショナルスクール」です。「娘を行かせたいと思う学校がなかったから作った」という竹内校長に、YESインターナショナルがどんな学びの場なのかを聞きました。

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Questionary「YESインターナショナルスクール」を作ったきっかけを教えてください。

 

竹内薫さん(以下、竹内)きっかけは自分の娘の進学です。娘が小学生になるときに、通わせたいと思える学校が見つからなかったんです。今はみんなが同じカリキュラムのもとで、頭に押しこむような勉強の仕方をしている。だったら自分で作ろう、と思いました。

 

Questionary 校長として大切にしていることは何ですか?

 

竹内 勉強も運動もなんでも「楽しくやろうよ!」ということですかね。楽しくなければ意味がないというのは、よく言っています。子どもたちが苦痛に感じるなら、やらないほうがいい。

 

先生たちにも同じことを言っています。先生が楽しんで、それが子どもたちにも伝わりますから。あとは、とにかく子どもの邪魔をしないことですね。

 

 

Questionary どんな先生が在籍されているのでしょうか?

 

竹内 教員免状は持っていなくてもいいんです。いい先生が推薦してくれる先生は大体いい先生なので、口コミで入ってくれる方が多いですね。

 

例えば2024年4月から副校長になる先生は、ロンドン大学で政治学を勉強していたパキンスタン系イギリス人の方で、生まれは確かデンマークだったかな、そういう先生が自分の経験をもとに専門分野を教えてくれるから、子どもたちはとても視野が広がります。

 

あとは、オーストラリア出身の、デザイナーをやっていた先生や、私が今ハマっているカポエイラ(もともとはブラジルの奴隷たちが練習していた、格闘技や音楽、ダンスなどの要素が合わさったブラジルの伝統文化)の師匠など、国籍問わず、自分の得意なことを子どもたちに教えてくれています。

 

Questionary 生徒は今何人くらいいるんでしょうか?

 

竹内 東京校で約35名、横浜校で40名を超えるくらい、ほとんどが小学生です。

 

東京校は、不登校の子どもたちやホームスクールをしている子どもたちの学び場、居場所として利用されています。

 

時間割は細かく組んではいません。コンピュータがものすごい得意な子や、卒業した後に作曲家の道を進んでいる子、N中やN高に行って、自分の好きなことをやっている子もいます。

 

Questionary 竹内校長も現場で教えられているんですよね?

 

竹内 そうですね。だから結構忙しいです(笑)。

 

Questionary 子どもたちからユニークな質問を受けたことありますか?

 

竹内 よく聞かれるのは「お金持ちになるにはどうすればいいですか?」。

それについては、わからないから他の先生に聞いて、って言っています(笑)。

 

あとは卒業生がすでに3名海外に留学していて、私の娘がカナダのバンクーバーにあるセカンダリースクールに、他のふたりはロサンゼルスの小学校と芸術専門のセカンダリースクールに行っているので、「海外で勉強するにはどうすればいいですか」もよく聞かれますね。

 

でも、子どもたちには「必ずしも海外がすべていいわけじゃないよ」とは伝えています。日本はいい国だし、暮らしやすい。経済が停滞していたり、AIの分野が遅れていたり、まだまだ女性が社会で活躍できない部分があったり、いろいろ問題はありますが、それは海外も同じこと。だから行ってみてその場所が合わなかったら帰ってくればいい。どこかが天国なわけではないので。

 

プロフィール

竹内薫

Kaoru Takeuchi

サイエンスライター、YESインターナショナルスクール校長。東京大学教養学部、同理学部を卒業。 カナダ・マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻)。2014年8月にYESインターナショナルスクールを開校。著書に『(伝記絵本)カタリン•カリコの物語』(西村書店)、『誰かに教えたくなる宇宙のひみつ』(徳間書店)『僕たちはいつ宇宙に行けるのか』(山崎直子共著、青春出版社)など多数。 X:@7takeuchi7

 

COLUMN / 2024.02.01