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Interview田中れいかさん 児童養護施設での11年間の経験が 子どもたちの夢や進学をサポート

 

一般社団法人たすけあいの代表理事として、児童養護施設で暮らす子どもたちの理解の輪を広げる情報発信をしたり、一般社団法人ゆめさぽの代表理事として、なんらかの事情で親と離れて暮らす子どもたちが進学や夢をあきらめないでいいように「進学応援プロジェクト」(支援対象となるのは高校3年生。一人あたり一律7万円を進学応援費用として支給)を推進したりと、誰かの助けになるような活動を精力的に展開している田中れいかさん(28歳)。

 

田中さんは、ご両親の離婚がきっかけで7歳から18歳までの11年間を東京都世田谷区にある児童養護施設で暮らしました。退所後は、短期大学へ進学し保育士資格を取得。その後、夢だったモデルの道に進み、ミスユニバース2018茨城県大会準グランプリ・特別賞を受賞。同時に、児童養護施設での経験がある田中さんの説得力のある言葉は、同じような境遇にいる子どもたちにとって救いとなり、求められ続けました。

 

この仕事を始めて6年くらい経つんですけど、施設にいたというだけで社会的弱者と思われることが多くて、それは違うんじゃないかと。子どもが社会的弱者なのではなくて、親がそうだったから子どももそうなったという面もありますから。


施設に入った瞬間に弱者と言われ、施設を出た後も同じように扱われる。それは自己効力感や自分の未来の可能性を削ぐことにもつながるし、違和感を感じていました」

 

児童養護施設は基本18歳になると退所しなくてはなりません。大学進学率については、全国平均が50%超えなのに対し、児童養護施設出身者は約18%という数字があります(厚生労働省調査)。そんな状況の中、2023年4月にこども家庭庁が発足し、国が児童養護施設の子どもたちに目を向けてさまざまな制度が立ち上がっている今は、「次はない」というくらい子どもたちの状況を改善するチャンスなのだそう。

 

 

「でも、相変わらず施設の職員は離職率が高く、人材育成が大きな課題です。また、制度が増えても、連続性があまり感じられない。そのあたりをロジカルに進めてほしいと思っています」

 

「極端に貧しい子どもばかりではない」「親と定期的に会っている子もいる」「習い事もできる」etc…

施設に対する世の中のさまざまなギャップはまだ埋まらず、本当の話をすると驚かれたり、何かサポートしたいけど、どうしたらいいかわからない、という人もまだまだ多いそう。

 

「そんな時は、『ナカソラ』をのぞいてみてください。Amazonほしい物リストを活用した寄付サイトです。様々な事情で親と一緒に暮らせない子どもたちを応援したい人、と子どもたちが生活を送っている福祉施設をつなぐためにつくりました。全国の児童養護施設が何を必要としているか、一目でわかるようになっています」

 

社会的養護の理解を深めるべく、そして子どもたちの夢や進学をサポートするべく、「マイペースに活動を続けていく」という田中さん。

 

「これからはキャリア教育(子どもや若者がキャリアを形成するために必要な能力や態度を育てる教育)の分野にも挑戦したい。そして、『働くっていいな』と思ってもらえる、そんな大人であり続けたいと思っています」

 

<プロフィール>

田中れいかさん

1995年12月4日生まれ。一般社団法人たすけあいの代表理事、一般社団法人ゆめさぽの代表理事。7歳から18歳までの11年間を児童養護施設で暮らしまし、その後短期大学へ進学して保育士資格を取得。さらにモデルとしても活動。著書『児童養護施設という私のおうち――知ることからはじめる子どものためのフェアスタート』は、「休日は何してるの?」 「おこづかいはもらえるの?」 「親とは会うの?」など、施設のリアルな生活、進学事情、親との交流、退所後の課題などがわかりやすく解説されている。

Instagram:@tanaka_reika

 

COLUMN / 2024.06.06