「知らないことを知ることが楽しかった」
3歳のとき、両親のつきそいなく登山やサバイバルキャンプに参加したり、小学生になってからは、アジアの子どもたちといっしょに中国にある無人島でキャンプしたり、雪山登山をしたり。
でもそれは、親に「行ってきなさい」と言われたわけではなく、「こんな募集があるけど行ってみる?」と聞かれて「行く」と自分の意志で参加していました。3歳のときも、最初親といっしょに行って、2日目に母が「子どもがあぶないと目を離せられないでいるから、私たちにまかせなさい」と主催者側に言われて、次の日から母親のつきそいなしになりました。イヤだったら私は大泣きしていたと思うので、それが無かったから自分の意志で行ったんだと思います。
こんなふうに、今思うと両親ふくめ、まわりの人たちが自然と冒険に導いてくれていたと思います。知らないことを、自由な雰囲気の中でたくさん経験させてくれた。
あとは、私もよく参加していた、子どもたちにユニークな冒険の場を提供するNPO法人『遊び塾ありギリス』(現在は解散)の大人たちが、みんなおもしろいと思ったことはとにかくやる、はちゃめちゃな人ばかりで、「こんな大人でもいいんだ!」「人と違うことをしてもいいんだ!」と思えたことは、今の自分にも大きく影響しています。トラブルやハプニングが起こってもそれをも楽しむ大人たちをみていて、私も同じような考え方になりました。
小学校のときにいじめにあいましたが、そんなたくさんの”冒険”のおかげで、無視されたとしても自分の居場所は学校だけじゃない、ということがわかっていました。だから、むしろいじめてくる子たちがダメなんだと思えたし、それはそれでわり切って、でも勉強はしたかったので学校には行っていました。
子どもの頃の冒険からさまざまなことを学んだので、今度は私が、将来子どもたちに冒険できる場として、ヒマラヤでの冒険の楽しさを伝えていけたらと思っているんです。